高校生の文理選択:物理と生物どっち?
「本当は物理を選びたいけれど不安な人」へ贈る判断基準
この記事は、以下のような方におすすめです
- 工学部・理学部・医歯薬・農学系を目指し、本当は物理を選びたいが「難しそう」と迷っている高1生・保護者様
- 「女子は物理をやめておけ」「数学が苦手なら物理は無理」という噂に不安を感じている方
- 志望学部(看護・医療系含む)に応じた科目選択の判断材料を知り、納得して2年次の選択科目を選びたい方
高校1年生の秋、進学校で避けて通れないのが「文理選択」および「2年次以降の理科科目選択(物理か、生物か)」です。
この時期になると、多くの生徒さんや保護者様から「志望学部を考えると本当は物理を選びたいけれど、自分についていけるか不安で踏み出せない」というご相談をいただきます。
学校や周囲から「物理は数学のセンスが必要」「女子は生物にしておいた方が安全」といった声を聞くと、物理を選ぶことに不安を感じる人もいるでしょう。
しかし、30年以上進学校の生徒を見てきた経験からお伝えしたいのは、そうしたイメージだけで、行きたい学部や物理の選択を諦めてしまうのは非常にもったいないということです。
物理と生物のどちらを選ぶかは、性別や漠然とした得意・不得意のイメージではなく、志望する大学・学部の入試科目と、それぞれの科目の特徴を踏まえて考える必要があります。
物理と生物を、受験科目としてどう考えるか
■ 物理:解き方のポイントが掴めると、点につなげやすい
物理は、覚えなければならない知識量そのものは比較的少ない科目です。
一方で、公式を覚えて数値を代入するだけでは、模試や入試問題には対応できません。問題文から起きている現象を読み取り、必要に応じて図を描き、どの物理量の関係を使えばよいのかを判断する必要があります。
私は30年以上物理を指導してきましたが、物理は解き方のポイントがはっきりと掴めれば、点が取りやすい科目だと考えています。
■ 生物:知識だけでなく、文章や実験結果を読み取る力も必要
生物は、用語や知識を正確に身につけることに加えて、実験結果やグラフ、図表などを読み取って考察する力が求められます。
入試問題では、長い問題文から必要な情報を拾って考える場面もあり、理科でありながら文章読解力もかなり必要になる科目です。そのため、「生物は覚えれば何とかなる」と考えて選ぶと、入試問題では意外に苦労します。
物理と生物では、必要となる学習の仕方がかなり違います。
ただし、どちらが自分に向いているかだけで科目を決める前に、まず確認してほしいことがあります。それが、志望する大学・学部の入試科目です。
志望分野別に、物理と生物をどう考えるか
科目選択では、まず志望する大学・学部の受験条件を確認し、そのうえで進学後に学ぶ内容まで考えることが大切です。
① 工学部・理学部(物理系・数学系)など ➔ 【基本的に物理選択を推奨】
理工系への進学を考えている場合、私は基本的に物理選択を勧めています。大学・学科によっては化学などでも受験できますが、生物を選択すると受験できる大学・学科が限られる場合があります。また、大学入学後に学ぶ内容とのつながりを考えても、高校で物理を学んでおく意味は大きい分野です。
情報系については少し注意が必要です。「情報学部」という名称でも、理工系の情報分野から文理融合型の学部まで内容はさまざまです。学部名だけで判断せず、志望する大学・学科の入試科目と教育内容を確認してください。
② 医学部医学科 ➔ 【物理選択も有力。志望大学の入試科目は早めに確認】
医学部医学科では、物理・化学・生物から選択できる大学が多い一方、2027年度入試では、国公立大学のうち7大学が個別試験で物理を必須としています。北海道大学、群馬大学、金沢大学、愛媛大学、九州大学、佐賀大学、名古屋市立大学です。
一方、2027年度入試では、生物を必須としている国公立大学の医学部医学科はありません。この違いは、理科を選択するときに知っておいてよいでしょう。「医学部だから生物」と科目名のイメージだけで決めると、後になって受験できる大学の選択肢を狭める可能性があります。
近隣では、群馬大学医学部医学科が一般選抜で物理・化学をともに必須としています。群馬大学はその理由について、公式FAQで『物理と化学で基本的な自然界の法則を高校で学んできてほしい』と説明しています。
医学は生物だけを学ぶ分野ではありません。こうした大学側の考え方も、医学部を目指す生徒が理科を選択するときの一つの参考になると思います。医学部医学科を考えている場合は、物理と生物のどちらが得意そうかだけではなく、候補となる大学の入試科目まで確認したうえで選択することを勧めます。
③ 歯学部・薬学部・農学部・生命科学系 ➔ 【入試科目を確認したうえで、物理・生物を検討】
この分野は、大学・学科によって入試で利用できる理科の組み合わせが異なります。また、同じ学部名でも大学で学ぶ内容には幅があります。
まず志望する大学・学科の入試科目を確認し、そのうえで現在の数学・理科の学習状況や、大学で学びたい分野まで考えて物理・生物を選ぶのがよいでしょう。
④ 看護・保健・栄養系 ➔ 【生物を選ぶ意味が大きい分野。ただし入試科目は大学ごとに確認】
人体や生命現象を扱うことが多いため、高校で学ぶ生物が大学入学後の学習につながりやすい分野です。一方で、入試で必要となる理科は大学・学科によって異なります。「この分野なら必ず生物」と決めるのではなく、志望大学の入試科目を確認したうえで判断してください。
※理科の入試科目に関する情報は、各大学の2027年度入試の学生募集要項およびベネッセ「マナビジョン」の2027年度入試情報(2026年9月確認)に基づきます。入試科目は変更される場合があるため、出願時は必ず各大学の最新の募集要項をご確認ください。
出典:群馬大学「よくある質問(受験生向け)」内「【医】一般選抜の『理科』の出題科目はなぜ『物理』『化学』が必須なのですか」
群馬大学 公式ページ(2026年9月27日確認)
物理を選んだ後、「公式は覚えたのに解けない」と感じたら
物理は、公式をたくさん覚えれば解ける科目ではありません。問題文から状況を読み取り、必要に応じて図に整理し、与えられた条件からどの関係を使うのかを判断して式を立てる必要があります。
そのため、物理を選んだ後に「公式は覚えているのに、問題を見ると何を使えばよいか分からない」「解説を読めば分かるのに、自力では式を立てられない」という状態になることがあります。
こうした状態になったとき、物理の問題をどのように読み、どこを見直せばよいのかは、別のコラムで詳しく扱っています。
➔ 物理の学習法を扱ったコラムはこちら >理科の科目選択も、大学受験全体から考える
理科の科目選択は、「今どちらが得意か」だけでは決められません。志望する大学・学部の入試科目、進学後に学ぶ内容、現在の数学・理科の学習状況まで見たうえで考える必要があります。
弘道塾では、普段から数学・物理・化学を直接指導している塾長が、大学受験全体の学習方針や科目選択についても一緒に考えています。
化学の学習法や、栃女向け数学対策コラムもあわせてご覧ください。 ➔
【コラム】栃女 高2生の化学:「どこから分からないか分からない」を解消する3ステップ >
【コラム】栃女 高1生の夏休み:数学『4プロセス』の課題を「ただの写し作業」にしない方法 >
小山市・小山駅周辺で物理の科目選択について相談したい方へ
弘道塾は、栃木県小山市・JR小山駅から徒歩8分の理系専門個別指導塾です。高校生・既卒生を対象に、数学・物理・化学を塾長が直接指導しています。
物理を選ぶか迷っている場合も、現在の得意・不得意だけで決めるのではなく、志望する大学・学部の入試科目や進学後に学ぶ内容、現在の数学・理科の学習状況を確認しながら考えます。物理を選択した後の学習についても、実際の答案や途中式を見て確認するところを絞り、必要に応じて問題を解いたときの考え方も一緒にたどります。