栃女の化学|計算で迷ったら、
まずmolにそろえて考える
この記事は、こんな方を想定しています
- molの意味や基本的な換算は分かるが、化学反応式を使う計算になると迷う
- 質量・気体の体積・濃度など、違う単位が出てくると式がつながらなくなる
- 学校の課題には取り組んでいるが、理論化学の計算を安定させたい
molは、何のために使うのか
栃女で化学を学んでいて、molの意味や基本的な換算は分かる。それでも、化学反応式を使った計算になると、何から手をつければよいか分からなくなることがあります。molは化学基礎の早い段階で出てきますが、その後の理論化学でも繰り返し使う考え方です。
ここで一度、molを使う理由を整理しておきます。化学の問題には、質量ならg、気体ならL、粒子なら個数というように、いろいろな量が出てきます。これらをそのまま化学反応式の係数と比べることはできません。
そこで、いったん物質量(mol)にそろえ、化学反応式の係数比を使って別の物質へつなぐ。必要なら、最後に質量や気体の体積など、問題で求められている量へ戻します。
↓
molにそろえる
↓
化学反応式の係数比を使う
↓
求める物質のmol
↓
必要な量(g・Lなど)へ戻す
まずmolにする。反応式を使う。最後に戻す
例えばメタンの燃焼では、反応式は次のようになります。
係数の1:2:1:2は、質量の比ではなく物質量の比です。質量や気体の体積で与えられた数値は、まずmolに直してからこの関係につなぎます。
化学計算が苦手なうちは、途中のmolを省略しない方がよいと私は考えています。
計算が苦手な生徒ほど、途中を飛ばして一つの式で答えまで出そうとすることがあります。しかし、それでは間違えたときに、単位の変換で間違えたのか、反応式の量的関係を取り違えたのかが分かりにくくなります。
まず与えられた量をmolにする。反応式を使って次のmolを求める。最後に必要な単位へ戻す。最初はこの流れを崩さずに書いた方が、計算は安定します。
途中を省くのは、関係が見えるようになってからでよい
慣れてくれば、比例関係を使って途中の計算を省略できる場合もあります。すべての問題で、molを一つずつ答案に書かなければならないわけではありません。
ただし、それは何と何を結びつけているのかが分かった後の話です。基本的な量的計算で迷っている段階なら、速く処理することよりも、どの数値をmolに直し、そのmolを反応式のどこにつないだのかが追える書き方を優先した方がよいでしょう。
molは、化学基礎の最初だけの話ではありません
molは早い段階で習うため、「最初の単元」という印象を持たれがちです。しかし、物質量を使った考え方はそこで終わりません。
気体、溶液の濃度、化学反応の量的関係、電気分解、化学平衡など、理論化学を進めていくと物質量は繰り返し登場します。扱う内容が変わっても、ある量をmolで捉え、反応や関係式を使って別の量へつなぐという考え方は土台になります。
実際の入試問題でも、基本は変わりません
例えば2006年の東京工業大学(現・東京科学大学)では、次の反応について、2つの実験結果から未知数 \(m,n\) を求める問題が出題されています。
式に未知数が入り、条件も増えていますが、考え方は基本と変わりません。どの量も、まずmolに直して、反応式の係数の比でつなぎます。アでは、Na₂CO₃のmolからNa₁₀CoₘOₙのmolを出し、それが1.413 gにあたると考えます。イでは、0.4032 Lをまず二酸化炭素のmolに直してから、反応式に戻します。
一見すると最初のメタン燃焼とはかなり違う問題ですが、特別な計算方法を使っているわけではありません。与えられた量をmolで捉え、化学反応式の関係につなぐ。その基本を崩さずに、条件を一つずつ整理しています。
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化学計算で、基本事項は分かっているのに問題になると式がつながらない場合も、答案や途中式を見て確認するところを絞り、必要に応じて問題を解いたときの考え方も一緒にたどります。どこまでは分かっていたのか、どこから迷ったのかを整理し、次に確認する内容を考えます。