模試の数学、「何点をどこで取るか」で結果が変わる:
得点戦略の立て方
この記事は、以下のような方におすすめです
- 毎日きちんと勉強しているのに、模試になると数学の点数が思うように出ない高校生
- 難しい問題に時間を取られ、最後まで解ききれずに時間切れになってしまう方
- 「何点を目標に、どの問題で取るか」という戦略を立てて模試に臨みたい生徒さん・保護者様
模試の数学で、こんな経験はないでしょうか。
「難しい問題に時間をかけすぎて、後半の問題に手をつける前に時間切れになった」「解ける問題だったのに、焦って計算ミスをした」「一生懸命やっているのに、点数が平均前後から伸びない」。
毎日きちんと勉強しているのに模試で点が出ない——その原因は、多くの場合「実力不足」ではありません。「何点を、どの問題で取るか」という得点戦略を立てないまま、前から順番に全部解こうとしていることにあります。
模試、特に記述模試の数学は、すべての問題を解ききることを前提に作られていません。限られた時間の中で「取れる問題を確実に取り、難しい問題は潔く後回しにする」という取捨選択ができるかどうかで、同じ実力でも点数は大きく変わります。
この記事では、平均点と標準偏差という「その模試の実際のデータ」から目標点を逆算し、どの問題で何点を取るかを設計する考え方を解説します。抽象的な精神論ではなく、具体的な数字で見ていきましょう。
まず「合格ライン」を数字で把握する
目標点を決めるには、その模試の「平均点」と「標準偏差」を知る必要があります。
標準偏差とは、点数のばらつきの大きさを表す数字です。難しく考える必要はありません。「平均点+標準偏差」を取れれば、だいたい偏差値60(上位およそ16%)に届く、とだけ覚えておけば十分です。全国規模の模試における偏差値60は、多くの国公立大学を狙ううえで一つの目安になるラインです。
では、実際の模試のデータで見てみましょう。
【例:2025年度 高2全統記述模試(数学)】
・配点:200点満点
・平均点:70.6点
・標準偏差:42.1
この数字から、偏差値60のラインを計算してみます。
平均点70.6 + 標準偏差42.1 = 約113点。
つまり、この模試では113点取れれば偏差値60(上位およそ16%)に届きます。さらに126点なら偏差値63(上位およそ9%)という計算になります。
平均が70点台であることを踏まえると、113点は「難問を解けなければ届かない点数」ではありません。取れる問題を確実に積み上げれば、十分に現実的な目標です。
ここで大切なのは、「200点満点だから150点は取りたい」といった、満点から逆算する感覚を一度捨てることです。平均70点の模試で113点は、平均より40点以上も上。全体の上位16%に入る、立派な高得点です。満点ではなく、平均点と標準偏差から現実的な目標を設定する。これが得点戦略の出発点です。
戦略の要:第1問「小問集合」でまず40点を確保する
記述模試の数学は、多くの場合「第1問:小問集合(基本問題の詰め合わせ)」から始まります。ここは各分野の基礎が身についていれば確実に取れる、いわば「取りこぼしてはいけない40点」です。
考えてみてください。第1問の40点を完璧に取れれば、それだけで平均点70点の半分以上を確保できてしまいます。難しい大問に挑む前に、まずこの40点を落とさないこと。これが113点への一番の近道です。
実際に、どのような問題が並ぶのか。以下は本番の傾向をもとにした類題(数値を変更したオリジナル問題)です。まずは時間を計って、自分で解いてみてください。答えはこのすぐ後にまとめて掲載します。
第1問(小問集合) ※類題・まず自分で解いてみましょう
- \( (2x - 1)(4x^2 + 2x + 1) \) を展開せよ。
- \( \dfrac{x-2}{1 - \dfrac{1}{x+1}} \) を簡単にせよ。
- 2次関数 \( y = 3x^2 - 6x + 5 \) の最小値を求めよ。
- \( i \) を虚数単位とするとき、\( \dfrac{(1 + i)^2}{i} \) を \( a + bi \)(\( a, b \) は実数)の形で表せ。
- \( AB = 3,\ BC = \sqrt{13},\ CA = 4 \) である \( \triangle ABC \) において、\( \cos \angle BAC \) の値と \( \triangle ABC \) の面積を求めよ。
- \( a, a, b, b, c, c \) の6文字を1列に並べるとき、並べ方は全部で何通りか。このうち、\( b, b \) が隣り合わないような並べ方は何通りか。
── まずはここまでを、自分の力で解いてみてください。 ──
(目安:この6問を15分以内で。解き終わったら下の答えで確認しましょう)
答え合わせ
- \( 8x^3 - 1 \)
- \( \dfrac{x^2 - x - 2}{x} \)
- \( x = 1 \) で最小値 \( 2 \)
- \( 2 \)
- \( \cos \angle BAC = \dfrac{1}{2}, \quad \) 面積 \( = 3\sqrt{3} \)
- 全体:90通り、\( b, b \) が隣り合わない並べ方:60通り
いかがでしたか。ここで確認したいのは、正解できたかどうかだけではありません。「解説を読めば当然わかるけれど、試験本番で確実に・速く解ききれるか」です。
この6問は、どれも難問ではありません。だからこそ、ここを落とすのは「理解不足」ではなく「手を動かす練習の不足」であることがほとんどです。逆に言えば、この40点は練習次第で誰でも確実に取れるようになる、最も費用対効果の高い40点なのです。
113点を狙う「時間配分と大問選択」の3ステップ
第1問で40点を確保したうえで、残りの大問でどう点を積み上げるか。難問を解くのではなく「取れる問題を取り切る」ための3つの考え方です。
ステップ1:解き始める前に、全体を見て「解く順番」を決める
試験開始直後、いきなり第1問から解き始めてはいけません。まず1〜2分かけて全大問にざっと目を通し、「これは取れる」「これは後回し」を仕分けます。
鉄則は、第1問(小問集合)を最優先で確実に取り切ること。そのうえで、選択問題がある場合は、自分が得意な分野・手がつけやすい設定の大問を選びます。前から順番に解くのではなく、「確実に点になる順」に解くのが基本です。
ステップ2:各大問の「前半の設問」を優先して拾う
大問は、多くの場合「前半は基本、後半になるほど難しくなる」という構造になっています。1つの大問の最後の難問(配点は同じか、むしろ小さいこともある)に固執するより、複数の大問の「前半の取りやすい設問」を拾い集めるほうが、合計点は伸びます。
「第2問の(3)が解けない」と10分粘るくらいなら、その時間で「第3問の(1)(2)」を確実に取る。この判断ができるかどうかが、点数の分かれ目です。
ステップ3:残り時間で「見直し」を必ず確保する
最後まで解ききることを目標にすると、見直しの時間がなくなり、取れたはずの問題を計算ミスで失います。これが最ももったいない失点です。
あらかじめ「終了5〜10分前になったら、新しい問題には手を出さず、第1問と各大問の前半を見直す」と決めておきましょう。新しい1問を取りにいくより、すでに解いた問題のミスを1つ潰すほうが、確実に点になります。
この3ステップを意識するだけで、同じ実力でも点数は変わります。第1問で40点、残りの大問の前半を拾って+40〜50点、そこに見直しでミスを防ぐ。これで、平均70点の模試で113点(偏差値60)は十分に射程に入ります。「難問が解けるようになること」より先に、「取れる問題を取り切ること」。これが、毎日頑張っている子が最短で点数を伸ばす方法です。
弘道塾の個別指導について
弘道塾では、模試の結果を「偏差値の良し悪し」で終わらせず、答案の解き方・時間の使い方・どの問題で失点したかまで、塾長が1対1で直接分析します。
「毎日きちんと勉強しているのに点が出ない」——その原因は一人ひとり違います。知識なのか、定着なのか、それとも解く順番や時間配分なのか。本当の弱点を見極め、努力を確実に得点へと変えていきます。(数学・物理・化学の理系3教科に完全対応)
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