高2で数学が急に難しく感じるのはなぜか|課題はやっているのに模試で解けない理由

【高2数学で求められる力の変化】
数学Ⅰ・Aまで 計算を実行する力 (問題文から手順が見えやすい)
高2(数学Ⅱ・B・C以降) 方針を選ぶ力 (まず最初の一手を自分で決める)

この記事は、以下のような方におすすめです

「高2になってから、数学が急に難しくなった」

弘道塾にご相談いただく中で、特に多いのがこの内容です。

そして、そうお話しされる生徒さんの多くは、学校の課題をきちんと提出し、自分でも問題集を進めています。つまり、勉強時間や努力が足りないことだけが原因とは限りません。

背景にあるのは、数学Ⅰ・Aと数学Ⅱ・B・Cとで、求められる考え方が変わっていくことです(学校やコースによって進度は異なります)。同じ「数学」という科目名でも、問われている力は少しずつ移っていきます。

大切なのは、「できなくなった」とまとめてしまう前に、どこで手が止まっているのかを分けて見ることです。

この記事では、高2で何が変わるのかを整理したうえで、高1・高2・受験学年それぞれの立場から、今確認できることをご紹介します。

高2で数学の「求められること」が変わる

高2に入ると、数学の内容には次のような変化が起こります(学校やコースによって進度は異なります)。

  • 公式や概念の数が増える
  • 式とグラフ、式と図形を行き来する場面が増える
  • 複数の単元を組み合わせて解く問題が増える
  • 問題文から、使う考え方を自分で選ぶ必要が出てくる
  • 計算量と抽象度が上がる

このうち、点数に最も影響しやすいのが4つめです。

たとえば二次関数の最大・最小を考えるとき、平方完成そのものは高1で学んでいます。しかし学年が進むと、文字を含む場合、定義域が動く場合など、「なぜここで平方完成するのか」「どの形に直せば判断しやすいのか」を自分で選ばなければならない場面が増えていきます。手順を知っているかどうかではなく、場面に応じて選べるかどうかが問われます。

三角関数やベクトルでも同じことが起こります。公式を覚えているかより、「どの表現に置き換えると考えやすくなるか」を判断する場面が増えます。数学Ⅰ・Aの段階では、問題文を読めば何をすればよいかがある程度見えていた。それが高2以降は、まず方針を決める作業が先に来る、ということです。

つまり高2で起きているのは、計算を実行する力から、方針を選ぶ力へと比重が移る変化です。

これは「急にできなくなった」のではなく、「問われ方が変わった」ということです。むしろ、これまで学校の内容を真面目に積み上げてきた生徒さんほど、今までと同じ進め方が通用しなくなったことに戸惑いやすい部分でもあります。


課題をやっているのに模試で解けない仕組み

学校の課題を終え、問題集も進めているのに、模試になると手が止まる。このとき確認したいのは、学習量ではなく次のような点です。

  • 解答を見た後の「分かった」で終わっていないか
  • 数日空けてから、白紙の状態で解き直しているか
  • 最初の一手を自分で選ぶ練習ができているか
  • 間違えた原因を分類しているか
  • 提出期限に追われ、解き直しの時間を確保しにくくなっていないか

学習した直後は、解き方を覚えています。しかし数日後に、何も見ずに同じ考え方を再現できなければ、模試や入試では手が止まります。ここで必要になるのが、再現性です。

再現性は、解説を読んだ回数では上がりません。自分で最初の式を立てた回数で上がっていきます。解説を読んで理解することは、レシピを読んで納得することに近い状態です。何も見ずに作れるかどうかは、そこからもう一段別の練習になります。

もう一つ大切なのが、間違いを分類することです。

【つまずきを特定する4つの分類】
分類 1
知識
公式・定義の暗記や理解が入っていなかったか
分類 2
条件の読み取り
問題文の前提・範囲を整理できていたか
分類 3(高2で急増)
方針の選択
「最初の一手をどれにするか」で止まったか
分類 4
計算・式の変形
方針は合っていたが途中計算で崩れたか

原因が違えば、次にやるべきことも変わります。分類せずに問題数だけを増やすと、同じ止まり方を繰り返しやすくなります。

課題は、提出を終えるためだけのものではなく、再現性を確認するための材料として使うと、同じ量でも効果が変わってきます。とはいえ、進学校の課題量の中で解き直しの時間まで確保するのは簡単ではありません。だからこそ、どの問題を解き直すかを絞る判断が必要になります。

では、その判断材料はどこにあるのか。実際に見るべきものは、生徒さん自身の答案とノートです。この点は、後半で具体的に整理します。


高2は、数学だけが変わる学年ではない

数学の話を続けてきましたが、高2という学年には、理系科目全体が同時に動き出すという特徴があります。数学の負荷が上がったと感じるとき、実は他の科目でも変化が起きていることが少なくありません。

化学は、多くの学校で高2から始まる

化学は、多くの進学校で高2から本格的に始まります(開始学年は学校やコースによって異なります)。つまり高2の化学は、つまずきを直す学年ではなく、スタートの学年です。

そして最初の関門になりやすいのが、物質量、いわゆるmolの扱いです。

molは、暗記して片づく内容ではありません。個数・質量・体積を、比と単位を通して行き来する考え方です。ここは「覚えているか」ではなく「量の関係を扱えるか」が問われる部分で、数学で身につけた感覚がそのまま影響します。

【molを中心とした量の相互換算】
物質量[mol]
(すべての量を仲介する中心の単位)
アボガドロ定数 個数(粒子数)
モル質量 質量[g]
モル体積(気体) 体積[L]

この段階が曖昧なまま進むと、その後の理論化学が積み上がりにくくなります。反対に、ここを丁寧に整えておくと、後の単元で戻る回数が減ります。化学の学習を始めた最初の数か月に、どの程度この部分を確認できているかが、後半の負荷を左右します。

物理は「解けない」より「図にできない」で止まりやすい

物理は、少し事情が異なります(履修の進度や状況は学校によって異なります)。

高2で物理を続けている生徒さんの場合、力学の基本的な計算そのものは動くことが多いという印象があります。公式を覚えていないから解けない、という状態とは限りません。

一方で、次のようなご相談は一定数いただきます。

  • 公式は使えるのに、問題文の状況をどう図にすればよいか分からない
  • 図は描いたが、どの力を書き込むべきか迷う
  • 立てる式が1本足りず、答えまで進めない

これらは「物理ができない」という一つの問題ではなく、問題文を図と式に翻訳する手順が定まっていない、という状態です。原因を分けて見ると、確認すべき場所もはっきりしてきます。

3科目が同じ時期に動く

【高2で3科目に同時に起こる変化】
数学

求められる考え方が、計算の実行から方針の選択へ移る。

化学

科目そのものが本格化し、量を扱う考え方(mol)が最初の関門になる。

物理

単なる計算より、状況を図と式に整理する段階の比重が増す。

いずれも共通しているのは、「覚えた内容を使う」だけでは進みにくくなる、という点です。

そのため、科目ごとに別々の原因を探すよりも、理系科目全体を同じ視点で見た方が、止まっている場所が早く見つかる場合があります。数学で条件を書き出せていない生徒さんは、物理でも図に条件を落とせていないことが多い、というように、共通した傾向が現れることは少なくありません。


答案・ノートで確認できるポイント

ここまで「どこで止まっているかを分ける」とお伝えしてきました。その材料は、模試の判定や偏差値ではなく、生徒さん自身の答案とノートの中にあります。

確認したいのは、次のような点です。

  • 問題文の条件を、自分の手で書き出しているか
  • 図やグラフを描いてから考えているか
  • 最初の式を、自分で立てているか
  • 途中式を省略しすぎていないか
  • 解き直しを、時間を空けてから行っているか
  • 正解した問題について、なぜその方法を選んだか説明できるか

最後の項目は見落とされやすい部分です。正解していても、選んだ理由を説明できない場合、次に少し形の違う問題が出たときに再現できないことがあります。

反対に、間違っていても最初の式が正しく立っていれば、必要な修正は計算の部分だけかもしれません。答案は、点数だけでなく「どこまで進めていたか」を教えてくれる材料です。

保護者の方がご覧になる場合

保護者の方が答案やノートをご覧になるときは、次の2点をおすすめしています。

一つは、点数ではなく途中式を見ることです。何点だったかより、条件が書き出されているか、図が描かれているか、最初の式が立っているか。そこに、今の状態が表れています。

もう一つは、指摘ではなく確認から始めることです。「なぜここでこの式にしたの」と聞かれると、生徒さんは自分の考えを言葉にすることになります。この作業自体が、理解の整理につながります。うまく説明できない部分が見つかれば、それがそのまま確認すべき場所です。

答案を一緒に見ることは、成績を評価するためではなく、次に何をするかを決めるための作業です。真面目に取り組んでいるお子さんほど、努力の方向が少しずれているだけ、という場合もあります。


学年・状況別に、今できること

ここからは、立場ごとに確認できることを整理します。ご自身に当てはまる部分からお読みください。


高1高1の方へ

今、数学でつまずいていないとしても、確認しておくと後で戻る範囲が小さくなります。

  • 定期テストと模試の点数差を見る
    学校の範囲は取れているのに模試で下がる場合、範囲を絞れば再現できる状態にとどまっている可能性があります。
  • 数学Ⅰ・Aの基本問題を、白紙から解き直す
    教科書の例題レベルで構いません。数日空けてから、解答を見ずに最初の式を立てられるかを試します。
  • 解法の理由を説明してみる
    「なぜこの方法を選んだのか」を口に出して説明できるかを確認します。手順を覚えている状態と、理由まで分かっている状態を分けられます。
  • 苦手単元を、単独ではなく関連単元と一緒に見る
    二次関数が不安なら、二次方程式・二次不等式まで含めて確認します。単元を越えてつながっている部分が、後に効いてきます。

高2で問われ方が変わることは、あらかじめ分かっていることです。何が変わるかを知っておけば、変化に気づいたときの対応が早くなります。


高2すでに高2で困っている方へ

今つまずきを感じている場合、まず避けたいのは、全単元を最初からやり直すことです。時間が足りなくなり、学校の進度からも離れてしまいます。

  • 答案とノートから、止まっている地点を探す
    知識、条件の読み取り、方針の選択、計算のどこで崩れているかを分けます。原因が分かれば、戻る範囲は限定できます。
  • 学校の現在の進度と、復習を分けて考える
    今の授業についていくための学習と、戻って整える学習は、目的が違います。混ぜると、どちらも中途半端になりやすくなります。
  • 基本問題と応用問題の優先順位を決める
    応用問題で止まっている原因が基本部分にある場合、先に応用を重ねても再現性は上がりません。

戻ること自体は、後退ではありません。どこまで戻るかを決められれば、そこから先は積み上げになります。


受験学年・既卒受験学年・既卒の方へ

受験学年や既卒の段階で表面化しやすいのが、高2範囲の理解が土台になっている部分です。

数学Ⅲの微積分は、数学Ⅱの微分・積分と三角関数・指数対数の扱いが前提になります。物理の力学も、高2で扱った内容の上に乗っています。ここで手が止まる場合、原因が数学Ⅲそのものではなく、その手前にあることがあります。

  • どこまで戻るかは、志望校と答案によって決まる
    必要な範囲は一律ではありません。志望校の出題傾向と、実際の答案の両方を見て判断します。
  • 教材を増やす前に、現在地を確認する
    新しい問題集を追加しても、止まっている地点が同じであれば結果は変わりにくくなります。持っている教材で解き直したときに、どこまで自力で進めるかを先に確認します。
  • 残り期間から逆算して、優先順位を決める
    すべてを完璧にするのではなく、得点につながる順に整えていきます。

やり直しの起点が見つかれば、進め方は具体的に決められます。


弘道塾では、どう確認するか

弘道塾は、JR小山駅から徒歩8分の場所にある、高校生・既卒生向けの理系専門個別指導塾です。数学・物理・化学を、指導歴30年の塾長が完全1対1で直接指導しています。

この記事でお伝えしてきた「どこで止まっているかを分ける」作業を、実際の答案とノートを見ながら一緒に進めていきます。

  • 模試や定期テストの答案、普段のノート、途中式を確認します
  • 知識、条件の読み取り、方針の選択、計算のどこで止まっているかを分けます
  • 戻る範囲と、学校の進度に合わせる部分を切り分けて整理します
  • 数学・物理・化学を科目ごとに分けすぎず、理系科目全体として見ます

指導は完全1対1です。質問する内容がうまくまとまっていなくても構いません。「どこが分からないのか分からない」という状態から、一緒に整理していきます。

自習用に個別ブース型のスペースがあり、授業のない日もご利用いただけます。授業以外の時間に出てきた疑問は、LINEでもお受けしています。

初回は無料の学習相談(60分)で、現在の学習状況を整理するところから始めます。答案やノート、使用している教材をお持ちいただけると、より具体的にお話しできます。保護者の方のご同席も可能です。

まずはお話を聞いてみるだけでも大丈夫です。入塾を前提としないご相談でも構いません。

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